政談419

【荻生徂徠『政談』】419

(承前) 総じて僧というものは俗人よりも治め難いものである。公儀の申し渡しについても、俗人とは類が違うからといって従おうとしない。祐天のような僧は人々が帰依したが、無学であったために衆僧の方が帰伏しなかった。学徳があり、宗門の弊風を正したいという志を持つ僧を採用すべきである。


[語釈]●祐天 ゆうてん、寛永14年4月8日(1637年5月31日)- 享保3年7月15日(1718年8月11日))浄土宗大本山増上寺36世法主で、江戸時代を代表する呪術師。字は愚心。号は明蓮社顕誉。密教僧でなかったにもかかわらず、強力な怨霊に襲われていた者達を救済、その怨霊までも念仏の力で成仏させたという伝説がある。祐天の除霊伝説は存命中に書かれた『死霊解脱物語聞集』など、大衆向けに書かれた出版物によって広まった。その後、当時盛んだった説教節や、18世紀半ばになって書かれた『祐天大僧正御伝記』などの伝記の中で祐天の除霊譚は地蔵菩薩の化身として語られ、後々まで庶民の間で信じられてきた。

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