政談415
【荻生徂徠『政談』】415
(承前) 今、脱衣追放というのが行われているが、法衣を脱がせて追放しても、すぐにまた着てしまう。出家は定住場所を持たないため、追放されても困らない。寺法に背いた者は寺から追放し、宗門の法に背いた者はその宗門から追放し、一派の法に背いた者はその一派から追放し、国主の法に背いた者はその国から追放する。しかし、いわゆる六十余州は公儀の持ち物、天領であるため、ここでの追放というのは聞いたことがない。度牒を取り上げて還俗させ、元の在所に帰して平民とすべき。追放より軽い刑としては、古の律に百日苦役(ひゃくにちくえき)というのがある。唐律にもこれがある。百日の間、労働させるというもの。これはよいだろう。これより軽いのは寺より追い出し、あるいは住持任命の辞令を取り上げて平僧に落とすというもので、これもよい。出家の淫行は磔にして処刑するというのはあまりにも行き過ぎである。還俗させたうえで徒罪にするべき。 (この項以上)
0コメント