政談406
【荻生徂徠『政談』】406
(承前) 徒罪(懲役刑)は異国の三代の昔から後代にかけて、さらに日本の昔も定められており、この刑がない今、死罪・流罪の下に罪の等級がなく、従って裁きが不十分であることを認識しなければならない。徒罪として、米を搗かせ、穀(もみ)をすり、縄をなわせ、草履を作らせ、薪を割らせ、荷物を運ばせ、車を牽かせ、その他普請の地固めなど、いろいろさせるべきである。懲役の年数に等級があることから、罪の等級もいろいろ定めることができる。戸籍の法と度牒(どちょう)の法を定めたならば、逃亡潜伏する場所がなくなる。中古より戸籍の法と度牒の法が廃れて、徒刑も破綻したのだろう。
[語釈]●度牒の法 密かに尼僧となる者が出ないように官から出家の際に許可証を交付する制度。
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