政談404
【荻生徂徠『政談』】404
(承前) 次に改易・追放について。これは古代の律令にはない。戸籍の制度を定めた時、改易や追放はできなくなる。右に述べた流刑の中流・近流の上に、免職の上排除させられるのと、排除はされないが扶持を没収されるのと、これによって改易や追放はなくとも、罪の階級は設けるべきである。
改易と追放は、元来戦国割拠の時代の法であり、その当時は他国への流罪ということが不可能であることから、その代わりとして定めたのである。現在、太平の世にこの法があるため、遠国の追放者や欠け落ち人などが江戸御城下に集まるため、御城下は自然と悪人の巣なる。戸籍の制度が確立すれば、どの国でも親類や知人の添え状がなければそこに住まわせないから、改易や追放はできなくなる。古は流罪には追立(おいたて)の官人というものがあったことから、今の追放は流罪の仕方を戦国の時に替えたものとみえる。
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