政談388
【荻生徂徠『政談』】388
(承前) 国を守る武器は大名でなければ入手できない。その家が潰れたからは、公儀へ引き渡すべき。他の家財とは性質が違うのだから。町人や百姓に売り渡すことなどあってはならぬ。異国では、古代の三代の世もそれ以降の王朝も、蔵甲といって甲冑は公儀へ納めておき、合戦の前に渡して、帰陣したらまた公儀に納める制度になっている。日本も昔はそうであった。摂津の国兵庫は神功皇后の三韓征伐の武器を収めた所である。武蔵の秩父は日本武尊の東夷征伐の武器を納めた所である。今、武家の世となってからは人々がそれぞれに所持していることから、大名の潰れたあとは公儀へ納めるのがよい。
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