政談387

【荻生徂徠『政談』】387

(承前) 但し、その潰れた大名の家財のうち、弓・鉄砲・貸し具足などは親類の方へ改めて預からせ、処分が済んだのを待って公儀に家財の扱いを伺わせて、その親類に下げ渡そうとも、小身でも跡目相続をした人に譲渡しようとも、または公儀へ召し上げられようとも随意にすべき。なぜかというと、これらの諸道具は大名の国を守るためのものであり、新たな家の物になりようがないからである。町人に売り払うものでもないし、家来は浪人となるから、家来が分散して所有すべきものでもない。また、家来自身が所持している弓・鉄砲・具足も主人の親類へ預け置き、処分が済んだらそれぞれの家来へ返す。但し、鉄砲は浪人の所持すべきものではないから、主人の親類で買い取るべき。このような定法を立てたならば、家来の勝手な振る舞いをさせる気づかいはないだろう。されば、屋敷の引払いは急がせず相応に緩やかにさせるのがよい。公儀による城受取りの節は、右の類の武器を城から出させて城受取り人に渡し、その後に城の引渡しをさせる。城備え付けの道具は引渡しの対象だが、それ以外の武器は特に定めがないゆえ、特にここに記した次第。

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