政談371

【荻生徂徠『政談』】371

(承前) 出家の紫衣さえも官位と思い込むのは無知である。紫衣はいずれも平僧で、衣の色を認可されたというほどのことである。まして検校は僧とは隔たりがあり、官位とは関係ない。「検校」「勾当」という名も官名ではない。高野山の検校も平僧である。勾当とは、どんな事でも取り捌くことを言う。勾当の内侍(ないし)というのも、内侍で事を取り捌くことからつけられた称号である。


[語釈]●出家の紫衣 高僧に対して朝廷から与えられる紫の袈裟(けさ)と法衣。 ●官位 ここでは僧官と僧位のこと。僧官は僧正(そうじょう)・僧都(そうず)・律師の三官。僧位は法印大和尚(だいかしょう)位・法眼和尚位・法橋(ほっきょう)上人(しょうにん)位・伝燈大法師位・伝燈法師位・伝燈満衣・伝燈住衣・伝燈入衣の八位。古くはこの下に修行位があったという。 ●勾当の内侍 女官の第三等官「掌侍」の第一位。長橋の局(つぼね)。天皇への奏請、天皇よりの伝宣を担当。

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