政談369
【荻生徂徠『政談』】369
●比丘尼になりたる女中を別居さする事
比丘尼になった女中に御扶持を下された上に別居させるというのはとんでもないことである。女は男に頼らなくてはならないものである。女が比丘尼になるのは、思い込みが強くてその場の感情で出家してしまうもので、しばらくして後悔する類が多い。昔、宮人を嫁にすることは仁政のひとつとされた。人々が居場所を得るようにするのが仁政とされたからである。そこで、法体(ほったい)を御免、つまり還俗させてどこぞ相応しい所に縁付かせるのがよい。年配の女中ならば、法体を御免の上、その親類に預け置かれるのがよい。京都の女中ならば京都へ帰し、親類に預けるべき。女が別居すると悪事が生じるものだ。
[語釈]●比丘尼 尼僧。 ●宮人 宮中に使える女官。
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