政談355

【荻生徂徠『政談』】355

(承前) 上総の国の百姓の習わしで、女が嫁入りをして二十日も過ぎると実家へ三十日ほど帰る。その際、木綿一反ほど織れるだけの綿を夫の家からもらい受けて帰り、三十日のうちに糸に取って木綿一反を織って夫の家に帰り、これを着物にして夫に着させる決まりとなっており、どの家でもこのようにしている。百姓の家ではかような古礼が残って殊勝なことなのに、大名武家には由緒ある古礼が行われていないのは、百姓よりも劣っていることではないか。

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