政談343
【荻生徂徠『政談』】343
(承前) 婿養子になることについては、元来、男の方の所存がない者のすべきことではない。武家の妻女に不法な事があっても、多くは婿養子の家にある事である。但し、上の御取立てで立身した者で、子がなく、同姓の親類もない場合は、先祖の家筋でなければ、上の思召しで他の苗字の者を養子に下されることも構わないだろう。その時は古例に拠り、苗字だけ養父の苗字を名乗り、姓はその者の本姓のままとする。総じて他の苗字の相続を許さないのは聖人の法で深意があるのであり、国家を治める点で子細があるが、これはとても筆紙に記せることではない。
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