政談331
【荻生徂徠『政談』】331
●奉公人年を偽る事
奉公人が年齢を偽るのは、これもまた習慣のようになり、奉行や御役人も怪しまず、当然のことのように澄ましているのは、とんでもないことである。御奉公に出て最初にすることが偽りをすることというのは、どうした訳か。実子がない者は必ず養子に跡を継がせると定めて、それ以降、十七歳以下は養子として認めないということになった。跡継ぎが必要な家ならば、伯父に甥の跡目を継がせても問題あるまい。その理由は、先祖の勲功忠義によりその家を断絶させてはならぬからで、その先祖のために、子孫であるならば亡くなった人の養子にせずとも跡目は立つべきである。その亡くなった人に勲功でもあって跡目を立てるべき家筋ならば、伯父に養子になってもらわなければ家が続かない。
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