政談311
【荻生徂徠『政談』】311
(承前) 法度は少ないのがよいとする事、古からの道である。法度の数が多いと、下の者はとても覚えられず、結果として守らない。これは何事についても、御役人というのは老中をはじめ決められた明確な職掌がなく、何もかも一人に負わせて、月番というものでひと月交替で捌くために、月番の時はとても忙しく、また各月番の違いから前後の一貫性の相違まで出来(しゅったい)している。
[解説]主要な役人を月番制にしてひと月ごとに交替させる仕組みは、三代家光の寛永12(1635)年11月から始められた。例えば、江戸町奉行は2人置き、それぞれ北町奉行と南町奉行とし、今月は北町奉行が月番であれば、南町奉行は非番として事務や探索などをした。北町と南町が両方同時に開き、受付けから裁きまでをするのではない。今で言えば、知事や警察署長などを2人置き、1か月毎に1人が本来の業務をし、もう1人は残務整理と今抱えている案件の調査その他今後に備えた仕事をするといったもの。月番が表に出て、非番は裏方に回るという感じである。
0コメント