1940年7月26日
1940年7月26日 昭和15年
【内 閣】
第2次近衞文麿内閣
総理 近衛文麿/外務 松岡洋右/内務 安井英二/大蔵 河田烈/陸軍 東條英機/海軍 吉田善吾/司法 風見章/文部 橋田邦彦/農林 石黒忠篤/商工 小林一三/逓信 村田省蔵/鉄道 村田省蔵(逓信相兼任)/拓務 松岡洋右(外相兼任)/厚生 安井英二(内務相兼任)/国務 平沼騏一郎・星野直樹
企画院総裁 星野直樹
内閣書記官長 富田健治
法制局長官 村瀬直養
【元 老】
西園寺公望
【宮中主要官】
内大臣 木戸幸一/宮内大臣 牧野伸顕/枢密院議長 原嘉道/枢密院副議長 鈴木貫太郎
【軍部高官】
[陸 軍]
陸軍次官 阿南惟幾/軍務局長 武藤/参謀総長 杉山元/参謀次長 沢田茂/教育総監 山田乙三
[海 軍]
海軍次官 豊田貞次郎/軍令部総長 伏見宮博恭
【植民地高官】
朝鮮総督 南次郎/台湾総督 小林躋造/関東長官 梅津美治郎/樺太庁長官 棟居俊一/南洋庁長官 近藤駿介
【東京】
府知事 岡田周造/市長 大久保留次郎
官憲、スパイ容疑でイギリス人を多数逮捕。29日 収容中のロイター通信員コック自殺。30日 イギリス外相、重光葵大使に抗議。
大本営政府連絡会議、「世界情勢の推移に伴う時局処理要綱」を決定。日中戦争の処理、日独伊枢軸の強化、仏印(フランス領インドシナ)の基地強化、蘭印(オランダ領東インド)の重要資源確保、対英米戦争を想定した武力行使を含む南進政策を決定。
世界情勢の推移に伴ふ時局処理要綱
昭和一五・七・二七
大本営政府連絡会議決定
方 針
帝国は世界情勢の変局に対処し、内外の情勢を改善し速に支那事変の解決を促進すると共に、好機を捕捉し対南方問題を解決す
支那事変の処理未だ終らざる場合に於て対南方施策を重点とする態勢転換に関しては内外諸般の情勢を考慮し之を定む
右ニ項に対処する各般の準備は極力之を促進す
要 領
第1条 支那事変処理に関しては、政戦両略の総合力を之に集中し、特に第三国の援蒋行為を絶滅する等凡ゆる手段を尽して速に重慶政権の屈服を策す
対南方施策に関しては、情勢の変転を利用し好機を捕捉し、之が推進に努む
第2条 対外施策に関しては、支那事変処理を推進すると共に、対南方問題の解決を目処とし、概ね左記に依る
一、 先づ対独伊蘇施策を重点とし、特に速に独伊との政治的結束を強化し、対蘇国交の飛躍的調整を図る
二、 米国に対しては公正なる主張と厳然たる態度を持し、帝国の必要とする施策遂行に伴ふ巳むを得ざる自然的悪化は敢て之を辞せざるも、常に其動向に留意し、我より求めて摩擦を多からしむるは之を避くる如く施策す
三、 仏印および香港等に対しては左記に依る
(イ) 仏印(広州湾を含む)に対しては、援蒋行為遮断の徹底を期すると共に、速に我軍の補給担任、軍隊通過および飛行場使用等を容認せしめ、かつ帝国の必要なる資源の獲得に努む
情況により武力を行使することあり
(ロ) 香港に対しては「ビルマ」に於ける援蒋「ルート」の徹底的遮断と相俟ち、先づ速に敵性を芟除する如く強力に諸工作を推進す
(ハ) 租界に対しては、先づ敵性の芟除および交戦国軍隊の撤退を図ると共に、逐次支那側をして之を回収せしむる如く誘導す
(ニ) 前ニ項の施策に当り武力を行使するは第三条に依る
四、 蘭印に対しては、暫く外交的措置に依りその重要資源確保に努む
五、 太平洋上に於ける旧独領および仏領島嶼は、国防上の重大性に鑑み、為し得れば外交的措置に依り我領有に帰する如く処理す
六、 南方に於ける其他の諸邦に対しては、努めて友好的措置により我工作に同調せしむる如く施策す
第3条 対南方武力行使に関しては左記に準拠す
一、 支那事変処理概ね終了せる場合に於ては、対南方問題解決の為、内外諸般の情勢之を許す限り好機を捕捉し武力を行使す
二、 支那事変の処理未だ終らざる場合に於ては、第三国と開戦に至らざる限度に於て施策するも、内外諸般の情勢特に有利に進展するに至らば、対南方問題解決の為武力を行使することあり
三、 前ニ項武力行使の時期、範囲、方法等に関しては、情勢に応じ之を決定す
四、 武力行使に当りては戦争対手を極力英国のみに局限するに努む
但し此の場合に於ても、対米開戦は之を避け得ざることなるべきを以て、之が準備に遺憾なきを期す
第4条 国内指導に関しては、以上の諸施策を実行するに必要なる如く諸般の態勢を誘導整備しつつ、新世界情勢に基く国防国家の完成を促進す
之が為、特に左の諸件の実現を期す
一、 強力政治の実行
ニ、 総動員法の広汎なる発動
三、 戦時経済態勢の確立
四、 戦争資材の集積および船腹の拡充
(繰上輸入および特別輸入最大限実施ならびに消費規正)
五、 生産拡充および軍備充実の調整
六、 国民精神の昂揚および国内世論の統一
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