政談143

【荻生徂徠『政談』】143

(承前) 総じて大名の第一とすべきは、家中や領民をよく治め、財政を破綻させず、武備をおろそかにせず、末永く参勤交代を務めて上を守護することである。さて、平素の公儀への勤めは根本さえ違えなければ、些少の事は人々の裁量で少々早くなったり遅くなったり出入りがあったりしても問題はないのに、何事も根本を失い、周囲に尋ねて横並びにする風潮がある上に、御老中方の対応も心得違いが多いことから、留守居役がなければどうにもならない。大名の家老も安楽を好んで主人を大切にしないため、留守居役を置いて自分は公儀の勤めに関わらない有様だ。このような状況だから、大名らの財政の倹約などとてもできなくなっている。


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