政談140

【荻生徂徠『政談』】140

(承前) また、僅かな例ではあるが、御先手(おさきて)に大名の内意を引き出させるということがある。なぜこのようなことが起こるかというと、昔は御先手というのは武役の主な役職だったことから、旗本内部でも自分の武力を誇示する者が多いため、老中の前でもよく発言する。ゆえにこれを頼んで内意を聞かせるようになったのである。今は旗本のはき溜めと称して、役人の中の役立たずのことを言う。昔とは違い、なかなか物を言うこともできない。しかし、殿中に自由に出入りして方々に聞き回り、その相手に相応しいことを言っては内意を聞き出している。



過去の出来事

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