政談126

【荻生徂徠『政談』】126

(承前) されば、今の旅宿の在り方をやめる方法であるが、それは幕府による御買上げをやめることである。御買上げをやめるとはどういうことかというと、古の中国の三代の御代より、諸侯が土地で産出したものを貢ぐ制度があった。以後、歴代の帝王、また日本も昔は郡県制度であったから、国々より産物を上に貢いでいたことは書物の記録でも明らかである。そもそも諸侯にその土地を与えるのに、産物を上納させるのはなぜかというと、五穀と人民はどの国にもあるものだから、その土地を与えるからには、年貢米と夫役とはその土地の君主の権利とし、その他の諸物は土地によってそれぞれ優れたものがあり、一様ではないことから、産物を上に貢がせることは少しも無理なことではない。道理であり、古今の定法である。


過去の出来事

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