佛像圖彙435
【435】夜叉大黒(やしゃだいこく)
[通釈]
夜叉大黒
[解説]
夜叉を鎮める大黒。右手に金剛輪を持ち、左手は拳の印を結んでいる。 服装は衣冠束帯。
夜叉はインド古代から知られる半神半鬼。神聖な超自然的存在とみられたらしい。仏教に取り入れられてからは毘沙門天の従者として、仏法を守護する八部衆の一つに位置づけられた。しかし、人に恩恵を与える寛大さと殺害する凶暴さとをあわせもつ性格から、その信仰には強い祈願と慰撫の儀礼を伴う場合が多い。
以上のことから、夜叉は時代が下っても恐るべきものという観念が強く、そのために夜叉を鎮める大黒、夜叉大黒という尊まで考案されたのだろう。
「触らぬ神に祟りなし」という諺は、聖天様のように念が強すぎて姿を拝することも、いい加減な祭り方もできないものや、夜叉のように人に危害を加える一面があるといったものなどを念頭に置いているのだろう。
神も仏もしょせんは人が作ったもの、という冷めた説も古来よりあるが。これは、神も仏も存在しない、というのではなく、本物の神仏は人には理解できない、感じることもできないものであるということ。我々には確かに心があるが、その心を自分で見ることはできないし、人に見せることもできない。人の心も見ることができない。神仏もこれと同じということ。
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