佛像圖彙242
【242】富士権現(ふじごんげん)
[通釈]
富士権現 梵字はバ
孝霊天皇五年に出現した。駿州の富士山は三国無双の名山である。源阿字が空より出て三観一心を示した。峯は圓頓を実現し三密同体の理を明らかにした。故に平城天皇の大同元年、本宮を建立した。醍醐天皇の延喜二年に浅間神社を建立。大宮神である。
本地は大日如来
[注]
源阿字 源の字は不詳。阿字は梵字の最初で有り大日如来を表す。富士山の頂上から月を見ると中に阿の字が見えるといわれている
三観 三諦と同じ。空・仮・中の三つの真理。 諸法、あらゆるものについて、みな空無と観ずる空諦、みな仮有(けう)と観ずる仮諦、有でも空でもないと観ずる中諦の三つをいう。 天台宗ではこれを法華経にも説かれるとして、発展させた。
円頓 圓頓止観の事。三観により直ちに悟りの境地に入ること。
[解説] 富士権現は、富士を神格化したもの。現在では祭神は此花咲耶姫(このはなさくやひめ)とされる。伝説では富士は孝霊天皇五年に一夜にして出現したとされる。
[雑記] 「百年後の仏教」
【23】佛敎大学教授 梅原眞隆
「今日の樣な宗派とか本山とかいふものを中心とした佛敎は勢(いきおい)を失ふでもあらう、けれどもほんとうの人間の道としての佛敎はだんだん興隆するでありませう。私たちの今日論議してることがきつと實現してくると信じます、こんなにおもふと眞劒にならずに居られません。」
(政治力のある)組織としての仏教は勢いを失い、逆に人間として踏み行う道としての仏教が興隆するだろうから、そう思うと日々の勤めも真剣にならずにはいられない、としています。
その100年後の今はどうか。残念ながら、観光地としても有名な大寺はますます栄え、政治と結びつきの強い宗派(特に新興宗教)は権力さえ持つほど。
世の中との関わりはそこそこにして、常に仏道修行と法を説くお寺や僧侶は目立たない人ほど苦境に立たされているように思います。動画配信でも、目立とう、それには「ワル」を自称することも厭わないといったものが増えている感じですが、末法の世であればあるほど、人々の目は厳しくなり、本物を見極めようとするもの。今は目立つもののほうが人気があるようですが、それで満たされたり癒される人が少なければ、淘汰されてゆくことになるのでしょう。
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