佛像圖彙237
【237】客人権現(きゃくじんごんげん)
[通釈] 客人権現 梵字はキャ 桓武天皇の延暦元年に八王子山の麓に現れなされた。 慶命大僧正が社殿を造営した。 白山妙理権現である。 本地は十一面観音
[注] 慶命大僧正 平安中期の天台座主。
[解説] 客人権現も前出。ちなみに、東京都葛飾区にある白髭(しらひげ)神社は、江戸時代には「葛西の客人(まろうど)大権現」として江戸市中から多くの参詣者が訪れたが、とりわけ遊郭や料理屋関係者(特に女性)、文人墨客(身分はいろいろ)に人気があった。
[雑記] 「百年後の仏教」
【19】佐藤鋼次郎(陸軍軍人、軍事評論家。関東國粹会総長)
「我が佛敎界にルーター(ルター)の出づることもあらば格別、然らざれば百年後の我が佛敎は、支那に於ける佛敎の現状よりも、更に一層憐むべき状態に立ち到らん歟(か)。」
100年前に行われたアンケートで、各界著名人といったことから軍人も対象にし、そうせざるを得ない時代だったことは理解できますが。
それはともかく、宗教改革者で有名なルターを引き合いに出し、このような人が出現しなければ仏教は憐れむべき状態になるだろうと予測しています。軍人幹部も初期の頃の人ほど西洋事情もよく学び、英語など堪能な人もいて、総じて教養ある人が多かった。その上で国粋主義を信奉したわけですが、この回答も現状のままでは進歩も発展もなく、ひとりよがりで少数の信徒と内輪の、内向きのものとなってしまうことを憂慮しています。ただ、どう改革すべきかは述べておらず、開かれた仏教をよしとするのか、それとも国家護持、国威発揚の支柱となることを望むのかは明らかではありません。
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