佛像圖彙228
【228】薬王菩薩(やくおうぼさつ)
[通釈]
薬王菩薩 梵字はベイ 二十九日
山王院の御解釈に「薬王はすなわち不動で、大通智勝の示現である。不動の火光三昧にて身を焼いた」とある。
[注]
山王院 圓珍のこと。唐から帰国の後、比叡山山王院に住んだ事から。後、園城寺を再興し、天台宗寺門派の祖となる。諡号は智証大師。入唐時の記録「山王院在唐記」がある。
[解説]
薬王菩薩は、釈迦如来の脇侍の一つ。過去に星宿光長者と称した時、大乗を聞いて、妙薬によって民衆の心身の病を治療しようという大願を起こした菩薩で、薬上菩薩はその弟。ともに未来世には仏となると記別を受けた。また阿彌陀の二十五菩薩の一つに数える。
[雑記] 「百年後の仏教」
【11】陸軍中將 堀内信水
「百年後の佛敎を知らんと欲せば國亡びて、山河ある今日の印度を視よ、是れ現實の活動寫眞なり。祇園に何の生花が薫り居るか!?! 少林に何處に淸風が吹き居るか!?! 支那に朝鮮に何處に佛敎が活現して居るか!?! 余は佛敎の百年後と云はず大和民族の百年後と云はんとす、何となれば今や日本と佛敎とは一元素にして不可離なり。而して世界中少しく生息し居る佛敎は日本の外なきなり、故に歐米は之れを撲滅せんが爲めに有形無形の赤十字軍を我れに向けつゝあるを知らぬ顔の八兵衞なる僧侶は自分及び其の子孫が滅亡しつゝあるを悟らず、實に可憐也、其罪源は遺敎の「端心正念」を忘れ「浄戒」を破り、「五根之主心」を放棄し先づ自ら「展轉して之れを行はず、如來法身と常に別居」し居るからである。奮起せよ僧侶諸君!」
軍人らしく激越な語調です。かつての国が滅んだインドをはじめ、中国、朝鮮といった仏教が盛んだった国々の現状は惨憺たるもので、今や日本だけが仏教と不可分の関係であり、日本だけで息づいている。欧米は我が国我が仏教を撲滅しようとしているのに、僧侶たちは教えも戒律も守らず、自分や子孫らが滅亡しようとしていることも悟らない。奮起せよ、と実に号令をかけるような勇猛さです。
宗教は時が経過し発展すると権威化し、やがて守りに入る。保守化ですね。伝統や仕来りを墨守し、それさえ勤めれば役目は果たしたと満足し、時勢に背を向ける。今般の悪疫流行により参拝者が激減したこともあり、オンラインで朝勤の様子を流したり、各種の祈願祈祷を受け付けるといった寺院が出る一方、それをよしとしない所も多く、どちらが良いかといったことはただちに決められません。が、御仏の教えを広めたい、という観点からすれば広められる新たな手法を取り入れてみることは無意味とは言えないし、寺院に行かないと知ることができなかったいろいろなことが住職の説明とともに知ることができるのは、立派な方便ではないかと思う次第です。
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