政談13
【荻生徂徠『政談』】13
(承前) 以上のように法を立て替えるには碁盤の目を盛るようにするのがよい。さすれば、碁はいかようにも打てるものである。これをしなければ、御旗本や武家の乱れた姿を直すことは難しい。いま、諸事よろしくない状況にあるのは、我儘で自分勝手を当然とする風潮がはびこっているからで、当分は不自由で難儀に思われる人が多く、実際に差し支えることもあるだろうが、次第に江戸は引き締まって治安が良くなることである。
[注解]第二段(江戸の町と武家屋敷のしまりの事)はここまで。徂徠は物事を整然とした状態にすることを碁盤の目に例えている。縦横の線が等間隔に並び交差することで、万事よく治まり、その状態の上でなら物事を気持ちよく動かすことができる。徂徠がこのように進言するのは、決して将軍は独裁者ではなく、社会は人治ではなく法治が必要であり、将軍は誰よりも法を遵守し、その姿を示すことで幕臣(官僚)らも、そして大名らも見習い、下級武士や庶民にもその風潮が及ぶという考えだからです。この考えが前提となり、これからさまざまな事に話が及んでゆくことになります。
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