司馬江漢随筆・続7

【江戸時代の随筆・司馬江漢】続7

 蝙蝠(こうもり)は軒にぶら下がり、人が逆さまに歩くのを怪しがるという。悪人が善人を見て、自分とは違うと思うのと同じである。

 しかし、蝙蝠も飛ぶ時、あるいは喰する時や糞する時は頭を上にしている。してみれば、ただ寝る時に頭を下にして逆さまになるだけで、人が寝る時と同じようなものだ。


[注解]言われてみればその通りかな、と思う程度の他愛ない一文。とはいえ、今は蝙蝠はごく限られた所(山深い所、洞窟など)でしか見られず、たまに里でも目撃されることはあるものの、寝ている時、物を食べたり排泄する時の様子まで細かく見られる機会がまずないから、この一文によって初めて教えられる人も少なくないことでしょう。

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