佛像圖彙188
【188】大通智勝仏(だいつうちしょうぶつ)
[通釈]
大通智勝仏 梵字はア 九日
大とは空、通とは仮、智とは中道で、一心三観のことである。
[注]
一心三観(いっしんさんがん) 天台宗で説く観法(かんぽう)。一切の存在には実体がないと観ずる空観(くうがん)と、一切の存在は仮に現象するものであると観ずる仮観(けがん)と、この空仮の二観を別々のものとしない中観(ちゅうがん)との三観を、一思いの心に同時に観じ取ること。天台大師が始めた。圓融三観ともいう。
[解説]
大通智勝仏は如来。妙法蓮華経第三巻化城喩第七で説かれている。出家する前は王子で、さらに16人の息子(王子)がいた。その16人目の息子が釈迦如来の過去世の姿と言われている。日本での作像例は極めて少ない。
下の画像はサイト「月の抒情、瀧の激情」さんの「大通智勝仏と十六王子──大山祇神社の本地仏たち」より。瀬戸内海にある大三島(愛媛県今治市に属す)の大山祇神社の元別当寺の東円坊にある木造金剛界大日如来坐像(鎌倉時代の作・町指定有形文化財)。智拳印が通常の金剛界大日如来とは左右逆になっていることから古仏としては唯一存在している大通智勝如来と言われている。
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