佛像圖彙173

【173】熱田大明神(あつただいみょうじん)


[通釈]

熱田大明神 梵字はア 朔日 三十番神

三十番神は天台宗の鎭守である。慈覚大師が楞厳(りょうごん)杉の洞にて如法經を書写された折に、大師を守護するために毎日一神ずつ出現された。

尾張邦愛知郡に鎮座まします。


[注]

三十番神 神仏習合の信仰で、毎日交替で国家や国民などを守護するとされた30柱の神々のこと。太陰太陽暦では月の日数は29日か30日のため三十番まである。最澄が比叡山に祀ったのが最初とされ、鎌倉時代には盛んに信仰されるようになった。中世以降は特に日蓮宗・法華宗で重視され、法華経守護の神とされた。

 1 熱田大明神 熱田神宮

 2 諏訪大明神 諏訪大社

 3 広田大明神 広田神社

 4 気比大明神 気比神宮

 5 気多大明神 気多大社

 6 鹿島大明神 鹿島神宮

 7 北野大明神 北野天満宮

 8 江文大明神 江文神社

 9 貴船大明神 貴船神社

 10 天照皇太神 伊勢神宮内宮

 11 八幡大菩薩 石清水八幡宮

 12 加茂大明神 上賀茂神社・下鴨神社

 13 松尾大明神 松尾大社

 14 大原大明神 大原野神社

 15 春日大明神 春日大社

 16 平野大明神 平野神社

 17 大比叡権現 日吉大社西本宮

 18 小比叡権現 日吉大社東本宮

 19 聖真子権現 日吉大社宇佐宮

 20 客人大明神 日吉大社白山姫神社

 21 八王子権現 日吉大社八王子社

 22 稲荷大明神 伏見稲荷大社

 23 住吉大明神 住吉大社

 24 祇園大明神 八坂神社

 25 赤山大明神 赤山禅院

 26 建部大明神 建部大社

 27 三上大明神 御上神社

 28 兵主大明神 兵主大社

 29 苗鹿大明神 那波加神社

 30 吉備大明神 吉備津神社

現在は太陽暦の採用により31日が存在するため、31日の神として五番善神(薬王菩薩、勇施菩薩、多聞天、持国天、鬼子母神、十羅刹女)を勧請する場合がある。

慈覚大師 圓仁。下野壬生の人。入唐して天臺及び密教を學んだ。帰国の後は天台座主に就いた(ここでは最澄では無く圓仁に起源を求めている。数年前中国洛陽近郊の法王寺で圓仁直筆の碑文なる物が発見されたと報じられたが、界線等にメートル法を用いている事が解り寺僧の僞造と判明した)。

如法經 草筆石墨を用い一字記す毎に三礼して法華經を書写する行法。

熱田大明神 今は熱田神宮と呼び慣わせる。図像は日本武尊の妃宮簀姫。本地は大日如来とされる。


[雑記]

 ネットでの拾い画像より、日蓮宗の大荒行の様子。寒さ厳しい新潟でのものだそうですが、見ているこちらのほうが凍えそうです。3時間毎に水をかぶり、あとはひたすら誦経。この荒行の間は頭髪も髭も剃ってはいけないとか。感想は省きます。

過去の出来事

過去の本日の朝廷や江戸幕府の人事一覧、その他の出来事を紹介します。ほかに昔に関する雑記など。