佛像圖彙172
【172】定光仏(じょうこうぶつ)
[通釈]
三十日秘仏 定光仏 朔日(さくじつ)
定光佛 梵字はア
智論に「燃燈仏は是れ定光仏である」と。仏祖統記にいう「燃燈は世に住むこと八百四十億年、衆生を済度する」と。
[注]
三十日秘仏 最澄が毎日の守護仏として比叡山に祀ったと伝えられるが疑わしい。少なくとも天台系の僧侶が始めた事は間違いない。後に日本の神祇をも当て嵌めて「三十番神」が成立した。天台の他日蓮宗で祀られる事が多い。中国の道教系民間信仰「四直功曹」の内の「日直功曹」と関連があるのではないか。道教は他宗であろうと他国のものであろうと、さまざまな神仏を自家のものとして加え崇めてきた。
智論 書名。正しくは『大智度論』。『大品般若經』の注釈書。全百巻。注釈書ではあるが仏教用語の解説も詳しく、一種の百科事典ともいえる。
佛祖統記 書名。南宋の天台僧・志磐が撰した仏教史書。全五十四巻。
[解説]
定光仏は、三十日秘仏の一日仏。
燃燈仏は、釈迦が前世で儒童梵士と呼ばれ修行していたとき、未来において、悟りを開き釈迦仏となるであろうと予言した仏。 燃燈の原名はディーパンカラで、提和竭羅(だいわがつら)と音写し、定光仏、錠光仏などとも漢訳される。 灯火を輝かす者という意味があり、肩に炎をもつ独特な仏である(本書では描かれていない)。
下の画像はモンゴル、エルデネ・ゾーの西寺に安置された燃燈仏像。
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