佛像圖彙165

【165】西方 大威徳明王(だいいとくみょうおう)


[通釈]

西方 大威徳明王 梵字はキリーク

本地は阿弥陀如来。『青龍疏』に「一切の悪毒龍を摧伏する」と。

『光明疏』(こうみょうそ)にいう「大威徳とは、德は群輩に勝り、威は諸龍を慣らすが故だからである」と。


[注]

青龍疏 前出

光明疏 書名。正式名は『觀經疏光明抄』。鎌倉期の浄土僧長西の撰。善導の『觀無量壽經疏』に注釈を加えたもの。但し觀經疏を見た時の記憶に於いては大威徳明王は出てなかったので別の書と思われる。経典は似た名前のものが多く、未勘とせざるを得ない。(冢堀庵)


[解説]

 大威徳明王は、密教の明王。 阿弥陀如来の化身で、生あるものを害するすべての毒蛇悪竜,怨敵(おんてき)を打ち倒す。六面六臂(ろっぴ)六足の忿怒(ふんぬ)相で、水牛に乗る。日本では平安時代後期から戦勝祈願のため信仰された。三輪身説(前出)によれば、大威徳明王は阿弥陀如来(自性輪身)、文殊菩薩(正法輪身)に対応する教令輪身で、阿弥陀・文殊が人々を教え導くために敢えて恐ろしげな姿をとったものとされる。

画像は大威徳明王像(平安時代、ボストン美術館蔵)。


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