佛像圖彙159
【159】両頭愛染明王(りょうとうあいぜんみょうおう)
[通釈]
両頭愛染明王 梵字はウン
耳の左にある手に金鈴を持ち、右手に五峯杵を取る。次に左の別の手に金剛弓、右手に金剛箭を取る。さながら衆星の光を放つような姿である。
よく愛染の大法を成す。
右蓮はさながら一切の悪心衆生を打破(勢は誤刻)するようである。蓮の下に宝瓶が有り、両畔に諸々の宝を散らす。
[注]
両頭の愛染は嵯峨天皇の枕元に現れた物を弘法大師が図現したと伝えられる。不動と愛染が合体した物で、いわば密教最強の本尊ともいえる。この絵の愛染様もさることながら大日様も穏やかな像様です(冢堀庵氏記)
[解説]
「両頭」は「りょうず」と読ませるものが多いが、本図のように江戸時代でも「りょうとう」と普通に読ませていた例もあるようである。
紅白の二つの顔を持ち、左が怒りの顔で赤く、右が慈しみの顔で白。不動と愛染明王が合体したものと言われている。手は愛染明王の六臂に加え、不動の二臂で計八臂。持ち物はそれぞれ単体と同じ。愛する人の名前を書いて、この明王の手に持たせて呪文を唱えると、願いが叶うとされている。
絵は奈良国立博物館蔵、鎌倉~南北朝時代 14世紀 絹本著色の掛幅「両頭愛染明王像」
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