佛像圖彙152

【152】无量力吼(むりょうりつく)


[通釈]

五大力菩薩

無量力吼 梵字はウーン

仏滅後千三百年、弥提国に三百の疫鬼が侵入して疫病が流行し、死に至る者は甚だ多かった。正月八日に勅を下し、国中の人民に五大力菩薩を描かせ、仁王の斎会を設けさせ供養させた。その結果、鬼神は恐れて国境を出て行った。


[注]

五大力菩薩 『仁王經』(佛說仁王般若波羅蜜經。画像は冒頭部分)に基づく国家鎮護の菩薩。『仁王經』は鳩摩羅什の訳(旧訳)と不空三蔵の訳(新訳)がある。無量吼は旧訳の尊名。旧訳は天台で採用されている。我が旧幕時代、五大力菩薩を略体で手紙の封じ目に書く事が有った。これは五大力菩薩の力に據り手紙が無事に着く様にとの呪い。主に花柳界で用いられた。歌舞伎の外題にも「五大力戀緘」がある。奈良時代から五大力菩薩を本尊として鎮護国家・万民豊楽を祈る 「仁王会(にんのうえ)」が盛んに行われたが、新型コロナ流行のみぎり、今こそ仁王会を催す時では。

[解説]

 五大力菩薩は三宝を護持し、正法を建立する国を守護する五人の大力ある菩薩。旧訳の仁王経では、金剛吼(く)・龍王吼・無畏十力吼・雷電吼・無量力吼の五菩薩。新訳の仁王護国経では(東)金剛手・(南)金剛宝・(西)金剛利・(北)金剛薬叉・(中)金剛波羅蜜多の五菩薩。

 菩薩は今まで見てきたように慈悲に満ちた温和な表情、姿をし、女性と見まがうものが多いが(一部を除き、基本的に菩薩は如来同様男性とされている)、一般に菩薩は、やさしく慈愛あふれる顔をしていますが、この五大力菩薩は不動明王のような忿怒相で表わされている。

 画像(高野山発行のチラシより)は高野山有志八幡講十八箇院の五大力菩薩像(国宝)。霊宝館で高野山のさまざまな文化財が入れ替わり展示されるが、この五大力菩薩像はめったに展示されない由。

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