佛像圖彙145
【145】浄行安立行(じょうぎょうあんりゅうぎょう)
[通釈]
浄行安立行(菩薩)
浄行菩薩とは眞如清浄なるが故に名づけられる。
安立菩薩とは三千宛然なるが故に名づけられる。
『法華抄』に本化四菩薩とあるのはこれである。
[注]
三千 三千世界。正しくは三千大千世界。須弥山(しゅみせん)を中心とした一つの世界を千倍し、また千倍し、さらに千倍した大きな世界。これが悟りを開いた一仏(如来)の教化する範囲で、仏の数だけ世界が存在すると仏教では考えられている。転じて、広い世界。世間。
宛然 そっくりそのままであるさま。安立行菩薩はまだ如来になっていないため自身の世界は有していないが、悟りを開いて三千世界を有するような尊者ということ。
化四 日蓮宗の四菩薩(前出)。本化の菩薩(ほんげのぼさつ)とも。日蓮宗では、久遠(くおん)の本仏によって久遠という遠い昔に教導を受けた菩薩方とし、本仏の垂迹身(分身)である迹仏の教導を受けた菩薩のことを迹化の菩薩という。本化の菩薩は地涌の菩薩ともいい、その上首、リーダー格が上行、無辺行、浄行、安立行の四菩薩とする。
法華抄 日蓮の著作に種々有るが法華主要抄と思われる。安立(あんりゅう)寺との寺号を持つ寺は先ず日蓮宗と見てよい。
[解説]
先の上行無辺行(菩薩)と同じく、浄行と安立行の二菩薩を合わせたもの。扱いが粗略に思えるが、本書が作られた江戸時代は幕府による法華(日蓮)宗の扱いが他宗よりも低く、徳川家はもちろん、諸大名でも法華(日蓮)宗を菩提寺にしている家は皆無であったように敬遠されていた。こういった世の趨勢に関係しているかもしれない。もしくは、日蓮宗自身でこういう合わせ方をしていたのか、その辺りは調べ得ていない。
[千手観音の持物]18
白蓮華手
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