佛像圖彙139
【139】鶏亀地蔵(けいきじぞう)
[通釈]
鷄亀地蔵 梵字はイー
延命地蔵或いは光味地蔵という。
[注]
延命地蔵は『延命地蔵菩薩経』に基づく。唐の不空の訳となっているが、実は日本で成立した偽経。その名の通り地蔵菩薩のご利益を説く。内容は、釈迦が説法する場所は須弥山(しゅみせん)を囲む七金山の一つであり地蔵菩薩の住居とされる佉羅陀山(からだせん、きゃらだせん)。そこで釈迦は無垢生という名の帝釈の質問に答え、自分が没した後に衆生を助け救う存在として延命地蔵菩薩の名を挙げ、そのはたらきについて述べていく。三途(地獄道・餓鬼道・畜生道)において地蔵の姿を見たり名前を聞いた者は天か浄土に生まれることができる。三善道(阿修羅道・人間道・天道)で名前を聞いた者は、その生涯で果報を手にし、来世では仏国土に生まれることができる。さらに深く想い、忘れないようにすれば、心眼を開き成就に至ることができる。この他十種の幸福をもたらし、八つの恐怖を取り除くと語られる。十種の幸福とは、女性なら出産できる、健康で丈夫になれる、人々の病を悉く取り除く、寿命を長くする、賢くなる、財産に溢れるほど恵まれる、他の人々から敬愛してもらえる、穀物が育つ、神々の加護を得られる、菩提を得ることが保障される、というもの。八つの恐怖が取り除かれる、とは風雨は時節にかなったものとなり、敵になるような国家が勃興せず、内乱・内部抗争が起こらず、(不吉とされた)日食月食が興らず、(各人の運命運勢に影響するとされた)星宿が悪い方向に変化せず、鬼神がやってくることはなく、飢饉と旱魃が興らず、人民が病気にかかることがない、というもの。(以上、Wikipediaより)
偽経は疑経,疑似経典とも。仏教がインドから中国に伝わると,道教徒と仏教徒が対抗して争い,みずからの優位性を立証しようと,両者の側で多くの経典が偽作された。仏教経典の目録作者はそれらを偽経あるいは疑似経典と呼び,インド伝来の仏典とは区別し,経録から除外した。偽経はさらに日本でも作られた。
[解説]
鷄亀地蔵は延命地蔵の別名、あるいは派生したもののようで、伝説では、地蔵菩薩を建立したとき、悪疫が退散し、付近の鶏が大声で鳴き、亀が像の側へきた、ということから「鶏亀地蔵」と言われるようになったとされる。乳飲み子をもつ母親が乳が出ないで困ったとき、この地蔵に願いをかけると乳が出る、という信仰もある。これらはすべて日本だけのもの。
造像例として、群馬県桐生市のホームページで紹介されているものを参考までに。
龍真寺の石造地蔵菩薩坐像(鶏亀地蔵)
指定年月日 昭和57年10月1日
区 分 市指定重要文化財
所 在 地 桐生市新里町新川1051
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