佛像圖彙112
【112】延命観音(えんめいかんおん)
[通釈]
延命観音
呪詛諸毒薬 宣験記に見える。
[注]
呪詛諸毒薬 これも普門品の偈より。「呪詛諸毒薬 所欲害身者 念彼観音力 還著於本人」(しゅうそーしょーどくやく しょーよくがいしんしゃ ねんぴーかんのんりき げんじゃくおーほんにん)意味は「誹謗中傷、世の中には悪い言葉を使う人もおり、そうした言葉が自分の身にふりかかるときもある。それでも菩薩として生きることを忘れなければ、言葉を発した本人たちのもとへと悪言は還っていき、やがて過ちに気付くだろう」。
宣験記 中国の南朝宋の劉義慶(りゅう ぎけい)の撰。仏の霊験を種々記す。劉義慶は『世説新語』(せせつしんご)の著者でもある。
[解説]
延命観音は、宝珠などさまざまな持ち物をもつ二十臂(ぴ)を具し、宝冠中に仏身を頂き、蓮花にすわる。呪詛(じゅそ)、毒薬の害を除き、寿命を延ばす功徳があるという。『佛像圖彙』の絵は、宝冠中に仏身らしきものは認められるものの、臂二十は無いようである。
画像は茨城県筑西市の天台宗施無畏山延命院(せむいざんえんめいいん)観音寺の本尊、木造観音菩薩立像(筑西市役所サイトより。なお、本像は秘仏で、カラーの画像が延命院のホームページに紹介されている)。鎌倉時代の作で、別名延命観音ともいわれている。この姿が正確なもの。
0コメント