佛像圖彙111

【111】威徳観音(いとくかんおん)


[通釈]

威徳観音

天大将軍身 


[ 注 ]

天大将軍身 『観音経』普門品に「応以天大将軍身。得度者。即現天大将軍身。而為説法」(応に天大将軍身を以て得度すべき者には、即ち天大将軍身を現じて而も為に法を説き)とある。


[解説]

 威徳観音は、左手に蓮華を持ち、岩上に坐する姿で、『観音経』に「まさに天の大将軍の身をもって得度すべきものには、すなわち天の大将軍の身を現じて、ために法を説く」とあるのによる。観音の威厳と徳望とが、まさに天の大将軍のごとくすぐれていることを示し、正しい教えを広める威徳に因んだ尊名。


[雑記]

 某お寺の朝勤行後の法話(YouTubeライブ)を拝聴していたら、ご住持が「お釈迦様の像は衣を着ているだけで、飾りもなければ手に何も持っていらっしゃらない、いたってシンプルなものです」と言われた。確かにそうで、下に『佛像圖彙』の正覚釈迦を再掲しておきましたが、インドの簡素な衣だけ。阿弥陀如来もほとんど同じ姿なので一般には見誤りやすい(手の印相により区別できる)が、薬師如来だと薬壷を持っているため分かりやすい。菩薩はまだ修行中の身で本来の姿をしているため、豪華な衣装や装身具をつけている。武神由来の神仏だと手に武器を携えるなど、一見してどういうものかがわかる。釈尊はもはや完全に超越した方だから、何も身につける必要がない。飾らない美しさとでもいうことでしょうか。

過去の出来事

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