佛像圖彙86

【86】無辺身菩薩(むへんしんぼさつ)


[通釈]

無辺身菩薩

無辺身菩薩は地藏菩薩の異名である。

『本願経』にいう「寝ている夢の中で具(つぶさ)に地蔵菩薩が無辺身を表し、この人界に於いて灌頂水を授けるのを見る、云々」と。

まことに大悲甚深の菩薩であり、様々に分身して六道を済度される。


[注]

本願経 正しくは地蔵菩薩本願経。二巻。武則天(則天武后)期の訳僧。実叉難陀(じっしゃなんだ、Śikṣānanda、シクシャーナンダ、652年 - 710年。パミール高原の北、ホータン(和田)の出身)の訳。

六道 天・人・修羅・餓鬼・畜生・地獄 地蔵はこの六道の間に有って済度することから「六道能化地蔵菩薩」とも。また「六地蔵」としても知られる。

持物は錫杖と宝珠。


[解説]

 無辺身菩薩は地蔵菩薩と同じとされる。繰り返しになるが、地蔵菩薩は釈迦の入滅後、56億7000万年後に弥勒菩薩が出現するまでの間、現世に仏が不在となってしまうため、六道すべての世界(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道)に現れて衆生を救う菩薩であるとされる 。路傍の石仏でも多くみられるように古来より身近な仏さまとして広く崇められ親しまれてきた。

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