佛像圖彙77
【77】華厳菩薩(けごんぼさつ)
[通釈]
華厳菩薩
阿弥陀経の上方の段に「雑色宝華厳身仏とは、自行の因にして、華は宝のようであり、果徳の身を荘厳(しょうごん)するためである〔大祐の句解に見えている〕」という。つまりこの薩埵の名は因果の道理をお示しなさるのである。
[注]
弥陀経 『阿弥陀経』のこと。「浄土三部経」のひとつで、三部経の中では最も短いことから『小経』とも呼ばれる。『無量寿経』『観無量寿経』のまとめともいえるもの。
上方 六方世界の一つ、上方世界のこと。他に六方…東方世界・南方世界・西方世界・北方世界・下方世界がある。『阿弥陀経』に次のようにある(現代語訳)「私(釈迦)は阿弥陀仏の功徳を讃歎している。同じく、東方では阿しゅく仏・須弥相仏・大須弥仏・須弥光仏・妙音仏など、南方では日月灯仏・名聞光仏・大焔肩仏・須弥灯仏・無量精進仏など、西方では無量寿仏・無量相仏・無量幢仏・大光仏・大明仏・宝相仏・浄光仏など、北方では焔肩仏・最勝音仏・難沮仏・日生仏・網明仏など、下方では師子仏・名聞仏・名光仏・達摩仏・法幢仏・持法仏など、上方では梵音仏・宿王仏・香上仏・香光仏・大焔肩仏・雑色宝華厳身仏・娑羅樹王仏・宝華徳仏・見一切義仏・如須弥山仏など、そのほか砂の数ほど無数の仏が大きな舌を伸べて三千世界に向かって、この真実のことばを説いている。だから衆生よ、一切の諸仏がこの功徳を称讃し、一切の諸仏がこの経を護念する、この経を信じなさい」と。
自行の因 自行とは自らのためにする修行。
荘厳 ここでは、智慧や福徳など善美をもって、身やその住む国土を飾ること。また、逆に悪事を積むことをもいう。なお、天蓋(てんがい)・幢幡(とうはん)・瓔珞(ようらく)などで仏像や仏堂を美しくおごそかに飾りつけることや、そのものを指す意味もある。そうごん、とも。
図の持物は「方響」。方響とは音程の異なる金属板を並べ撥(ばち)で撃つ楽器。中国の伝統的な体鳴楽器であるが、現代中国ではほとんど使われていない。なお、よく似た楽器に磬(けい)があり、これを持つ像や絵もある。
[解説]
華厳菩薩は、華のように美しい悟りの境地で身を荘厳し、因果の道理を説く。
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