佛像圖彙68

【68】法自在王菩薩(ほうじざいおうぼさつ)


[通釈]

法自在王菩薩

いわゆる法とは仏法、自在王とは自由無碍(むげ)の意味である。法自在王は文殊の別名である。梵語では文殊師利(モンジュシリ)、漢訳して妙徳という。『悲華経』に「歓喜蔵摩尼宝積仏」といい、『楞厳経』(りょうごんきょう)に「龍種上尊王仏」という。


[注]

手に持つのは華を糸で連ねた 華鬟(けまん。瓔珞(ようらく。えいらく)とも)。後には貴金屬や珠玉でも作るようになった。本邦では天蓋に垂らす飾りをいう事が多い。現在は仏壇を美しく装飾するとともに、魔除けの役割も果たすと言われている仏具として多用されている。もともとは古代インドの王族たちが手首や頭部、腰などに身に着けた装身具。


[解説]

 法自在王菩薩、文殊菩薩の別名ともいわれる。 曼殊師利菩薩(まんじゅしりぼさつ)、妙徳菩薩などとも。


[雑記]

 前回の陀羅尼菩薩について、中世の今様(いまよう。当時流行った七五調の和歌の一種)を集めた『梁塵秘抄』(りょうじんひしょう)に次の歌がありました。

  須臾の間も聴く人は、陀羅尼菩薩を友として、一つ蓮に入りてこそ、衆生教化弘むなれ

  須臾(しゅゆ) 陀羅尼菩薩(だらにぼさつ) 蓮(はちす) 衆生(しゅじょう)

 本書は高校生の時に初めて読んで、当時は仏教のことは全くわからなかったものの、七五調の調子の良さや、なにかひたむきな仏心の歌が多く、魅せられるものがあって、折に触れて読み返したものです。しかし、ここ10年ぐらいは本書を手に取ることもなくなっていたところ、ふと読みたくなって任意のページを開いたところ、この歌が目に飛び込み、陀羅尼菩薩の回をネットに上げた直後だったこともあって、不思議な気持ちにさせられたことでした。

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