佛像圖彙49
【49】金剛喜(こんごうき)
[通釈]
金剛喜(菩薩) 梵字はサク
一切の如来菩提心金剛喜等の諸仏に帰依し奉る。
「出生義」にいう「一切の如来を隨所に称讃する体において金剛善哉を生じたまう」と。
[解説]
前回の金剛愛とほぼ同説明。「出生義」は不詳。冢堀庵先生は「諸仏出生義」を書名と見るが、私は「諸仏」は前の文にかかるものと考えており、通釈でも一応そのようにさせていただいた。「○」(圏)は文の区切りを示す記号で、これに従うと「諸仏」は「出生義」にかかる。ところが、訓点は冒頭の「南無」にかかっており、冢堀庵先生は訓読がいいかげんであるとするが、「一切」と「諸仏」は一つの言葉であることから(一切諸仏。「いっせいしょふ」)、「○」は読者において適宜言葉(仏の尊名など)を当て嵌めるようにする意味と解しておく。
以上のことは、「出生義」が「諸仏出生義」であれば疑問は氷解するが、ネットで検索しても全く出て来ないため、現時点では不詳としておくしかない。金剛というと金剛頂経が代表的な経典であるとされる。或いは、この中に手がかりがあるかもしれないが、後日の懸案としておきたい。
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