佛像圖彙44
【44】虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)
[通釈]
虚空蔵菩薩 梵字はタラーク
経典にいう「よく所願を満たすことから大悲虚空蔵という」と。
右手に剣を持ち、左手に如意宝珠を持つ。
[注]
経 『大集大虚空蔵菩薩本願経』唐・不空訳と思われる。他にも幾つかの経典が漢訳されている。
如意宝珠 思いどおりに宝を出すといわれる珠のこと。サンスクリット語のチンターマニcintāmaiの訳。如意宝、如意珠ともいう。いかなる願望も成就し、意のままに、宝や衣服、飲食を出し、病気や苦悩をいやしてくれる空想上の宝珠であり、また悪を除去し、濁った水を清らかにし、災禍を防ぐ功徳があると信じられている。如意輪観音、馬頭観音、地蔵菩薩などの持物(じもつ)とされる。真言宗などの密教で重んじられる。
[解説]
知恵が虚空のように広大な菩薩。頭に宝冠を頂き身に飾りをつけ,右手に知恵を象徴する剣、左手に福徳を表す知恵宝珠を持つ。人に現世・来世の利益を授けるとされ,この菩薩を本尊とする虚空蔵法という修法が平安期以後広く行われた。
十三仏の十三位。三十三回忌の仏にして冥界の王は法界王(十王の外に後審をする王が三人ある)。十二支本尊としては丑寅(うしとら)にあたる。民間信仰ではお使いが鰻とされているため丑寅の歳にあたる人は鰻断ちをすると大成するとされる(例えば故古今亭志ん朝)。
虚空蔵を本尊とする寺は比較的少ない。著名なのは三大虚空蔵の会津柳津・常陸村松・安房清澄(戦後、法華に改宗)十三参りで知られる嵐山法輪寺。能満寺と名のつく寺は何かしらこの仏と関連があると見て良い。
絹本著色虚空蔵菩薩像 東京国立博物館蔵 平安時代後期 国宝
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