佛像圖彙43

【43】無尽意菩薩(むじんいぼさつ)

[通釈]

無尽意菩薩 梵字はア 印は法満印

『名義集』には「阿差末」といい、ここには「無尽意」という。

『天台』にいう「一切の法性が無尽であることを知るために、この菩薩の発心も無尽である」と。


[注]

阿差末 あさまつ。阿差末菩薩。無尽意菩薩に同じ。なお、『阿差末菩薩経』竺法護訳7巻がある。

『天台』 書名。正しくは『天台小止観』。隋の智顗の述。


[解説]

 どの宗派でも読まれる「妙法蓮華経觀世音菩薩普門品第二十五偈」に、この無尽意菩薩の逸話が出ている。以下、意訳で。

 無尽意菩薩は首に高価なネックレスをかけていた。それを観音さまにお布施しようとしたが、観音さまはこれを受け取らない。再度、無尽意菩薩がお願いすると観音さまは受け取り、それを半分にして一つをお釈迦さまに、もう一つを多宝仏塔に奉納した。お釈迦さまも観音さまに「まあまあ、この無尽意菩薩はじめ輪廻に苦しむ衆生を憐れんでこの瓔珞を受けとってくれ」と諭した。その言葉を受けて、観音さまは輪廻に苦しむすべての衆生の憐れみを心にその瓔珞を受け取った。それで瓔珞を二つに分けて、一つをお釈迦さまに、もう一つを多宝塔に奉じた。

 釈尊「無尽意菩薩よ、観世音菩薩はなにごとも一切思い悩まず、すべてがうまく行く。そんな特別な力をもっている。だから、この世で輪廻を断ち切らずに幼子が遊ぶように皆を救うのだ」


冒頭部分。

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