佛像圖彙38
【38】文殊師利菩薩(もんじゅしりぼさつ)
[通釈]
文殊師利菩薩 梵字はア
この菩薩は過去久遠(くおん)の大導師にして、三世諸仏の出世智の母である。
十方如来(じっぽうにょにい)発心(ほっしん)の薩埵(菩薩)である。
[注]
久遠 時が限りなく久しいこと。現在からみて遠い過去、遠い未来。
大導師 世の衆生を教化する導師としてもっともすぐれた人。特に、仏をいう。なお、法会の主僧の上位、導師の上位の僧も大導師という。大度師。とも。
三世諸仏 過去・現在・未来の3世にわたって存在する一切の仏。三世三千仏。
出世智 出世間智の略。執着を離れた超越的な智の事。
十方如来 諸々の如来。
薩埵 さった。菩提薩埵の略で菩薩(菩薩も略称)。
[解説]
文殊師利はサンスクリットのマンジュシュリーの音写。直訳すると、「うるわしい輝きをもつ者」。意訳は「妙吉祥」。仏の智慧を象徴する菩薩で、仏像などでは獅子に乗った姿で釈尊の向かって左に配される。右手に剣、左手に経巻を持っているのが特徴。この絵では蓮台に坐っている。釈迦 、普賢菩薩と一緒に釈迦三尊のかたちを組むが、単独で祀られることもよくある。「三人集れば文殊の智慧」という有名なことわざがあるように、智慧の仏様。なお、法華経では、弥勒菩薩・薬王菩薩とともに、菩薩の代表として登場する。
奈良・法華寺「文殊菩薩騎獅像」(通年公開・画像も)
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