佛像圖彙30
【30】日月燈明仏(にちがつとうみょうぶつ)
[訳]
日月燈明仏 梵字はウーン
『法華経』第一(序品)に云う、「無量無辺不可思議阿僧祇の遠い過去、この時に仏がおわした。名を日月燈明仏いう。(この仏から)世尊に至る」と。
[注]
天台・法華で主に祀られる三十秘仏(転じて民間では三十日仏ともい)の一つ。三十秘仏とは日本の神祇(三十番神)と習合して一月三十日を輪番で守護する。日毎記載形式の過去帳にも記載される。
日月燈明仏は十日。番神は天照大神。
無量無辺は、物事の程度や量がはかりしれないこと。はてしないこと。ここでは時間。
不可思議は、ここでは数の単位。一〇の六四乗。一説に一〇の八〇乗。元来の意味は、言葉でいうことも心で思いはかることもできないこと。言葉も心も及ばないこと。仏菩薩の智慧や神通力、または経典に説く種々の行為など、言語・思慮の及ばない境地をさしていう。
阿僧祇(あそうぎ)は、ここでは数の単位。10の56乗。一説に、10の64乗。元は梵語asaṃkhyaの音写で、無数・無央数と訳す。数えられないほどの大きな数。
世尊(せそん)は、仏の敬称。釈迦の敬称。
[解説]
日月燈明仏は、過去世にあって、釈迦以前に法華経を説いた仏。法華経によると、同名の仏二万が相継いでこの経を説いたという。文殊菩薩が師事した。
法華経(「妙法蓮華経」)は大乗仏教の最も重要な経典の一。漢訳は、竺法護(じくほうご)訳10巻(正法華経)、鳩摩羅什(くまらじゅう)訳8巻、闍那崛多(じゃなくった)ら訳8巻(添品妙法蓮華経)の3種が現存するが、ふつう羅什訳をさす。28品からなり、譬喩を交えた文学的な表現で法華一乗の立場や永遠の生命としての仏陀を説く。天台宗・日蓮宗の所依(しょえ)の経典だが、第二十五偈などは真言宗などでも読誦される。ちなみに、日蓮宗の題目「妙法蓮華経」の五字には、釈迦が多くの人を教え導いた智慧と慈悲の功徳が全て備わっているとされているとともに、この五字に法華経全文が凝縮されているという考えから、題目を唱えれば法華経全文を唱えたのと同じ功徳があるとされ、朝のお勤めから葬儀、法事、法要にいたるまで、「南無妙法蓮華経」の題目をひたすら唱えている。なお、日蓮宗の「南無妙法蓮華経」の「南無」は「ナム」と正しく発音し、「ナンミョーホーレンゲキョー」のように「ナン」という略した読みはいけないということをある日蓮宗の動画チャンネルでご住職が説明されていた。これが浄土真宗の念仏「南無阿弥陀仏」では派によって「ナモアミダブツ」と「ナモ」と発音する所や、「ナマンダブ」「ナムアミダンブ」他いろいろある。真宗はお経を節をつけて歌うことから、いわばくだけたような読みもされるようになったのだろうか。
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