仏像圖彙15
【15】妙観察智弥陀(みょうかんざつちのみだ)
[訳]
『諸経要集』によれば、御父を月上転輪聖王といい、御母を殊勝妙顔という。(又、紅波利色弥陀とも。)御名を憍尸迦(きょうしか)といい、王位を捨てて出家した。名を法蔵比丘(ほうぞうびく)と謂う。
[注]
『諸経要集』は中国,唐の律宗 (南山宗) の僧,道世 (?~683) の著。 20巻。仏教の典籍のなかから,特に善悪の行為とそれに対する報いについて抜き出して,30部に分類し整理した書物。仏教文献を検索するのに便利な書物である。同著者による,同範疇に属する書物に『法苑珠林(ほうおんじゅりん)』 (100巻) がある。
憍尸迦は、インド神話に登場する女神のシャチー(サンスクリット語: Śacī)。漢訳仏典では舎脂(しゃし)または舎支と音写されており、仏教における帝釈天の人間時代における名前を憍尸迦(きょうしか)という。帝釈天を舎脂鉢低(Śacīpati、シャチーの夫)とも呼ぶ。
[解説]
「妙観察智」は、万物がもつ各々の個性、特徴を見極め、その個性を活かす知恵のこと。長野県上田市にある天台宗別格本山・金剛山照明院常楽寺が妙観察智弥陀如来を本尊としている(画像は同寺御朱印 @tabibitorekishi)。
[補注]
原文の中に、このようなものがあります。
これは「ト」と「モ」を合わせたもので、合字といいます。
このうち、トキ、トモ(ドモ)、コトは漢文の送り仮名で使い、より・ことは和文でよく使います。漢文用の合字を覚えると、自分で白文に送り仮名をつける時に短くまとめることができて見てくれもよく便利です。
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