仏像圖彙7

【7】上品中生(じょうぼんちゅうしょう)

[訳]

上品中生は必ずしも方等経典を読誦しないが、良く其の意義や趣を理解している者を導かれる。

阿彌陀佛は大衆(たいしゅ・如来の弟子達)に圍繞され紫金の台を以てこの行者の前に至る。


[注]

紫金とは工芸的には銅に金を五六分混ぜた合金。「烏金(うきん)」とも。但し仏典等では純度が高く紫色掛かる輝きを呈する黄金の事を謂う事が多い。閻浮提金(えんぶだいごん)の事とも。閻浮提(えんぶだい)の閻浮樹の下にあるという金塊。または、閻浮樹の林を流れる川の底に産する砂金。また、広く、良質の金をいう。えんぶだごん。落語の「お血脈」の中のくすぐりでも出て来ます。攝河泉三国の鍛冶屋を集めて叩かせたがビクともしない。守屋曰く「プラチナ(不埒な)奴め」と。


[解説]

 九品の弥陀その二。上品中生。大乗方等経典を読誦せずとも、よく大乗第一義の義趣を理解し、心に畏怖驚動することなく、因果律を深く信じ大乗を誹謗しない者に対し、その功徳により聖衆の来迎を受け、往生した後に一宿を経て蓮華が開敷し、7日後に無上道を退かず、諸仏の国土へ赴き、一小劫(いちしょうこう)を経て無生法忍を得るという。経典を読誦せずともその義趣が理解できるのか疑問だが、上の中の人は、もともと心性に大乗第一義の義趣を理解するものが具わっているということだろう。

 大乗第一義とは、解第一義(げだいいちぎ)ともいい、臨終来迎の際、阿弥陀仏が往生人の徳を讃える言葉の一つ。『観経』に説く九品往生のうち上品中生の者の往生の際に示される。第一義という語の用例は大乗経典に多く見られ、この上のない真理や絶対不二の境地と説明され、解第一義諦、解第一義空といった類似の用例も数多い(浄土宗大辞典)。

 一小劫とは仏語で、きわめて長い時間をいう単位。人間の寿命が8万歳から100年ごとに1歳を減じて10歳になるまでの間、または10歳から100年ごとに1歳を増して8万歳になるまでの間。また、両者を合わせて一小劫ともする。

過去の出来事

過去の本日の朝廷や江戸幕府の人事一覧、その他の出来事を紹介します。ほかに昔に関する雑記など。