訓蒙図彙14
鸛(かん)
[訓読]鸛 かん。おおとり。俗に誤り呼びて鴻(こう)となす。皂君(そうくん)、負釜(ぶふ)、並びに同じ。
[通釈]鸛 かん。おおとり。世俗では間違って鴻と呼んでいる。皂君、負釜、ともに同じ。
[語釈]●鸛 こうのとり。こうづる。コウノトリ科の鳥。
[解説]現在、この字はこうのとり(鴻)の意味で使用されているが、訓蒙図彙ではこれは誤りで鳳(おおとり)のこととする。漢字は本国の中国での意味と日本に渡来してからの意味が異なることがあるほか、時代によっても変わることがある。また、同じ音の場合、互いに通用することもある。本書の作者が何に拠ってこのように断じたのか不明。
[用例]
『史記』卷七.項羽本紀の鴻門の会(中国語では鴻門宴)。
『史記』卷四八.陳涉世家:陳涉太息曰、「嗟乎,燕雀安知鴻鵠之志哉」
『文選』曹植.洛神賦:其形也,翩若驚鴻.婉若遊龍。
元.鄭光祖「王粲登樓」.第一折:大丈夫仗鴻鵠之志,據英傑之才。
『封神演義』第六回:梅伯死輕如鴻毛,有何惜哉。
『浮生六記』卷一.閨房記樂:鴻案相莊廿有三年,年愈久而情愈密。
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