和俗童子訓117
貝原益軒著『和俗童子訓』117
五に曰、夫もし不義あり、あやまちあらば、わが色をやはらげ、声をよろこばしめ、気をへり下りていさむべし。いさめをきかずして、いからば、先(まず)しばらくやめて、後に、おつとの心やはらぎたる時、又いさむべし。夫不義なりとも、顔色をはげしくし、声をいららげ、心気をあらくして、夫にさからひ、そむく事なかれ。是又、婦女の敬順の道にそむくのみならず、夫にうとまるるわざなり。
【通釈】
五、夫にもし不義や、過ちがあれば、自分の顔色をやわらげ、声を明るくし、気持ちは高ぶらないようにへり下って諫めるのがよい。もし諫めても聞かずに怒ったならば、まずしばらくは諫めたりするのをやめて、後で夫の心が落ち着いた時に改めて諫めるようにする。たとえ夫が不義であっても、顔色を激しくし、声を荒らげ、感情的になって、夫に逆らったり背くことのないようにする。なぜならば、こういったことは婦女の敬順の道に背くのみならず、夫に疎まれる態度だからである。
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