和俗童子訓114

貝原益軒著『和俗童子訓』114

いにしへ、女子の嫁する時、其母、中門まで送りて、いましめて曰、「なんぢが家にゆきて、必つつしみ、必戒めて、夫の心にそむく事なかれ。」といへり。是古の、女子の嫁する時、をやのをしゆる礼法なり。女子の父母、よく此理を云きかせ、いましむべし。女子も又、よく此理を心得て、まもり行なふべし。


【通釈】

古は、女子が嫁する時に、その母が中門まで送って、その場で戒めて、「そなたがあちらの家に行ったなら、必ず慎み、必ず戒めて、夫の心に背く事がないようにするのですよ」と言ったものである。これは古の女子が嫁する時に親が教える礼法である。女子の父母はよくこの道理を言い聞かせて戒めること。女子もまたよくこの道理を心得て、固く守り実践するように。

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