和俗童子訓110
貝原益軒著『和俗童子訓』110
凡女子を愛し過して、ほしゐままにそだてぬれば、おっとの家にゆきて、必おご(驕)りおこたりて、他人の気にあはず、つゐには、しうとにとうまれ、夫にすさめられ、夫婦不和になり、おひ出され、はぢをさらすものおほし。女子の父母、わがをしえなき事をはぢずして、しうと、をつとのあしきとのみ思ふ事、おろか也。父母のをしえ、なかりし女子は、おつとの家にゆき、しうとのをしえ正しければ、せはらしく、たえがたくおもひて、しうとをうらみそしり、中あしくなる。おやの家にて、おしえなければ、かくの如し。
【通釈】
およそ女子を溺愛して放縦に育ててしまうと、夫の家に嫁いでから、必ず驕り怠けて、他人の気に合わず、ついには舅に疎まれ、夫に嫌われ、夫婦不和になり、しまいには追い出され、恥を晒すといった者が多い。この時、女子の父母はわが教えが至らない事を恥じずに、舅と夫が悪いと決めつけるが、実に愚かである。
父母の教えを受けない女子は、夫の家に行き、舅の正しい教えを受けても、うるさくて耐え難く重い、舅をう怨みそしり、仲が悪くなる。親の家で教えを受けることがないと、このようになる。
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