和俗童子訓102

貝原益軒著『和俗童子訓』102

巻之五 女子に教ゆる法

男子は外に出て、師にしたがひ、物をまなび、朋友にまじはり、世上の礼法を見聞するものなれば、をやのをしえのみにあらず。外にて見ききする事多し。女子はつねに内に居て、外にいでざれば、師友にしたがひて道をまなび、世上の礼儀を見ならふべきやうなし。ひとへにおやのをしえを以、身をたつるものなれば、父母のをしえ、をこたるべからず。をやのをしえなくて、そだてぬる女は、礼儀をしらず。女の道にうとく、女徳をつつしまず、且女功のまなびなし。是皆父母の子を愛するみちをしらざればなり。


【通釈】

巻之五 女子に教える法

男子は外に出て、師に従い、物を学び、朋友に交わり、世上の礼法を見聞きするのだから、親の教えだけでなく、外で見聞きする事が多い。一方、女子は常に家庭内に居て外に出ないのだから、師や友に従って道を学び、世上の礼儀を見習うことがない。ひとえに親の教えによって身を立てるのだから、父母の教えを怠ってはいけない。親の教えがなくて育った女は礼儀を知らない。女の道にうとく、女徳を慎まず、かつ女の仕事を学ぶこともない。これらは皆、父母の子を愛する道を知らないためである。

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