和俗童子訓65

貝原益軒著『和俗童子訓』65

小児に初て書を説きかするに、文句みじかく、文義あさく、分明に、きこえやすく云きかすべし。小児に相応せざる、高く、ふかく、まはり遠く、むづかしく、ききにくき事を、おしゆべからず。又、ことば多く、長く、すべからず。言すくなくして、さとしやすくすべし。まづ孝経の首章、論語の学而篇を早く説きかすべし。是本(もと)をつとむるなり。小学の書をと(説)くには、義理を、あさくかろくとくべし。深く重く説べからず。是小児にをしゆる法也。


【通釈】

小児に初めて書物を説明して聞かせるにあたり、文句が短く、文義は浅く、明解で、聞きやすく言い聞かせる。小児にふさわしくない、高邁でしかも深淵で、回り遠く、難しく、聞きにくい事を教えてはならない。また、言葉多く、長くしてはならない。言葉を少なくして、理解しやすくするように。

まず孝経の首章、論語の学而(がくじ)篇を早く説き聞かせるようにすること。これは基本を押さえることである。小学の書物を説明するには、義理を浅く軽く説くこと。深く重く説いてはならない。これは小児に教える法方である。

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