和俗童子訓64
貝原益軒著『和俗童子訓』64
毎日一の善事を知り、一の善事を行なひて、小を積みてやまざれば、かならず大にいたる。日々の功をおこたり欠べからず。はじめは毎日、日記故事、蒙求の故事などの嘉言、善行を一両事づつ記すべし。又、毎日、数目ある事を二三条記すべし。一日に一事記すれば、一年には三百六十条なり。詩歌をよみおぼゆるも此法なり。一日に一首おぼゆれば、一年に三百六十首也。毎日誦して、日々、をこたるべからず、久きをつみては、其功大なり。
【通釈】
毎日一つの善事を知り、一つの善事を行なって、小さなことを積んで止めることがなければ、必ず大きなものとなる。日々の功を怠り欠けることがないようにすべき。最初は毎日、日記の故事、蒙求(もうぎゅう)の故事などの嘉言、善行を一両事ずつ書き留める。また、毎日、数目ある事を二三条記す。一日に一つの事を記せば、一年には三百六十条となる。詩歌を詠み覚えるのもこの方法がよい。一日に一首を覚えれば、一年に三百六十首となる。毎日誦して、日々、怠ってはならない。長く続けて積み上げれば、その効果はとても大きい。
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