和俗童子訓63

貝原益軒著『和俗童子訓』63

書を読には、必句読を明にし、よみごゑを詳にし、清濁を分ち、訓点にあやまりなく、「てには」を精しくすべし。世俗の疎なる謬(あやまり)にしたがふべからず。

書をよむに、当時、略(ほぼ)熟誦しても、久しくよまざれば、必、忘る。故に書をよみおはつて後、すでによみたる書を、時々かへりよむべし。又、毎日前の三四五度に授かりたる所を、今日よみ習ふ所に通して、あとをよむべし。此如くすれば忘れず。

【通釈】

書物を読むには、必ず句読を明らかにし、発声を明確にし、清濁をきちんと分け、訓点にあやまりなく、「てには」を正確にすること。世俗のいいかげんなあやまりに従ってはならない。

書物を熟読し暗誦したとしても、その後久しく読まないと、必ず忘れる。だから書物を読み終わっ

て後、既に読んだ書物を時々読み返すこと。また、毎日前に三四五度にわたって教わった所を、今日読み習う所と通して読むこと。こうすれば忘れない。

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